吐瀉物(としゃぶつ)処理の仕方

年末年始、人が集まる機会に飲み過ぎたり、冬場になると増加するノロウイルス感染症の影響などで、我慢できずに吐いてしまう場に出くわすことがあります。そんなとき焦らず適切な処理ができるよう、ふだんから吐瀉物処理に必要なものを備え置き、正しい処理の仕方を把握しておきましょう。
いざというとき、知らずにいると感染が広がることにもなりかねません。
嘔吐(おうと)の原因は?
- 食べ過ぎ
- 飲み過ぎ、二日酔い
- 乗り物酔い
- ストレス
- 胃腸炎(消化管の感染症)
- 薬によるもの
- 毒性物質の摂取
- アカラシアやツェンカー憩室(病気)などによる逆流
- 妊娠初期のつわり
- 乳児の場合の嘔吐(溢乳を除く)は、病気の可能性あり
- その他
嘔吐の原因によっては、本人だけが苦しいものと、周囲に感染させてしまうものがあります。もどした本人は弱っていて、適切な処理ができないことが多いので、周囲の人が対処しましょう。
吐瀉物は、どれくらいの範囲まで広がるのか?
一説によると、例えば成人男性が1mの高さから嘔吐した場合、地面に落下した吐瀉物は、その周辺の半径2mにまで飛散すると言われます。
自身の衣服や靴・スリッパなどに付着したり、思わず抑えた手に付いたり、付近の家具や壁などにまで付着することもあります。
テーブルやソファの下など、見落としがちなところに飛び散った吐瀉物を、その時は気付かず後になって発見するようなことも‥‥
吐瀉物の正しい処理法は?
- 処理する人は、手袋・マスク・エプロン(またはガウン)・不織布で頭髪を全部覆う帽子・シューズカバーなどを着用する。
- 処理中と処理後は、しばらく窓を開けて換気する。
- 汚物、吐瀉物の上にペーパーを広げる。吐瀉物を包み込むように取り除き、バケツにポリ袋を2枚重ねした中に、吐瀉物とペーパーを入れる。
- 拭き取った床より広い範囲に新しいペーパーを広げ、次亜塩素酸ナトリウムなど処理剤を撒いて10〜15分ほど放置する。
- 処理後のペーパーはポリバケツへ。再度、新しいペーパーで床を拭き取る。
- その後、床を水拭きし、除菌剤・抗ウイルス剤などを噴霧する。
- 先のバケツの中に、着用した手袋を廃棄し、入念に手を洗う。
- 新しい手袋を着けて、ポリバケツに2枚重ねしたポリ袋の、内側の袋の口を結ぶ。
- その後、シューズカバー、手袋、エプロン(またはガウン)、帽子、マスクの順に外して、ゴミ袋が入ったままの2枚目のゴミ袋に入れ、袋の口を結ぶ。
- ゴミ袋を廃棄し、処理後は手指の洗浄・消毒および、うがいを入念に行う。
- 室内空間に飛散したウイルス等が気になる場合は、除菌スプレーや抗ウイルススプレーなどを噴霧し、速やかに窓を閉める。
*ノロウイルスやロタウイルスなどに感染している人が嘔吐した場合、その吐瀉物を介して、ウイルス感染が広がることがあります。くれぐれも、ご用心ください。
嘔吐した人が気をつけることは?
- 嘔吐後はすぐに、うがいをする。
- 脱水症状にならないよう、吐き気が治まってから水分を摂取する。冷た過ぎる水より、ぬるま湯などがおすすめ。場合によっては、スポーツ飲料や経口補水液なども活用する。
- 炭酸飲料、アルコール、その他刺激物は、体調がもどるまで控える。
- 安静にして身体を休め、1〜2日たっても症状が治まらないような場合は、医療機関の診断をあおぐ。ただし、頭痛を伴うような嘔吐が続く場合は、速やかに医療機関へ。
- ノロウイルス感染など、明らかに思い当たることがあれば、医療機関を訪ねて投薬を受けるなど、適切な処置を行う。
- 感染症が疑われるような場合は、マスクの着用を心がける。
- 飲み過ぎ、食べ過ぎによる嘔吐など、セルフコントロールできるものは、再発しないよう意識を変える。