禁煙から卒煙へ

COVID-19、新型コロナウイルス感染症で世界中が渦中にある昨今です。日本では、2020年2月13日に初めて80代女性が新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなって以降、2021年8月下旬までの19ヶ月間に約15,800人が命を落としています。

一方、日本でがんが原因で亡くなった人の数は、1年間に男性 約22万人、女性 約15万6千人(2019年データ)に上ります。COVID-19の心配、用心もさることながら、がんの予防、早期発見、早期治療にも気を抜くことはできません。

2018年データによると日本人男性の65%、女性の50%が一生のうちにがんと診断され、がんによる死亡率は男性26.7%、女性17.8%(2019年データ)と出ています。

がんとタバコ

日本ではがんを発症した人のうち、男性の30%、女性の5%が、タバコが原因と考えられています。

喫煙によって発生する化学物質は約5,300種、そのうちの約70種類に発がん性物質が含まれ、健康に影響を及ぼしています。がんによる死亡者を分析すると、喫煙男性34%、喫煙女性6%という数値が見られます。

喫煙者本人への健康に及ぼす影響

▶︎ 脳卒中、歯周病、食道がん、口腔・咽頭がん、鼻腔・副鼻腔がん、慢性閉塞性疾患(COPD)、肺がん、虚血性心疾患、肝臓がん、胃がん、膵臓がん、腹部大動脈瘤、子宮頸がん、膀胱がん、早産、低出世体重・子宮内胎児発育遅延、糖尿病、末梢性の動脈硬化症

周囲にいる人への受動喫煙による影響

▶︎ 脳卒中、臭気・鼻への刺激感、肺がん、虚血性心疾患、小児ぜんそく、乳幼児突発死症候群(SIDS)

喫煙率の推移

2012年6月に策定された「第2期 がん対策推進基本計画」では、2022年までに成人喫煙率を12%に減らすことが目標として揚げられました。

2018年3月に策定された「第3期 がん対策推進基本計画」では、喫煙率減少に加え、妊娠中および20歳未満の人たちの喫煙をなくすことも目標に加えられました。

2019年の喫煙率データ

▶︎ 男性27.1%、女性7.6%  男女計 16.7%

男性の成人喫煙率の推移

女性の成人喫煙率の推移

喫煙率が低い5県(2019年データ)

男性 ▶︎ 京都府・奈良県・東京都・兵庫県・愛媛県

女性 ▶︎ 島根県・滋賀県・香川県・鳥取県・富山県

喫煙率が高い5県(2019年データ)

男性 ▶︎ 佐賀県・岩手県・青森県・秋田県・福島県

女性 ▶︎ 北海道・青森県・福島県・大阪府・千葉県

加熱式たばこと健康

数年前から日本でも、加熱式たばこ喫煙者が増えています。IQOS(アイコス)、glo(グロー)、ploomTECH(プルーム・テック)など、それ専用の喫煙具を使って喫煙する人が、男女を問わず増えてきています。

たばこの製造販売をする企業は、加熱式たばこは従来からの紙巻たばこに比べて「健康被害が少ない」、紙巻たばこから加熱式たばこに換えると「健康被害を少なくする」と明言しています。

長期的な健康への影響については、販売開始からの年月がそれほどたたないため、現状では明確な結論が出せる段階にありません。科学的観点から専門家の間でも疑問の声が上がっています。

加熱式たばこの主流煙にも、ニコチンや発がん性物質などの有害物質が含まれています。パッケージの健康警告には「加熱式たばこの煙(蒸気)は、発がん性物質や、依存性のあるニコチンが含まれるなど、 あなたの健康への悪影響が否定できません」「加熱式たばこの煙(蒸気)は、周りの人の健康への悪影響が否定できません。健康増進法で禁じられている場所では喫煙できません」と書かれています。

禁煙から卒煙へ

すでに諸々の状況を把握した上で「禁煙しよう」「タバコをやめよう」と考える人は多いのに、なかなかやめられない喫煙生活。

ニコチンが脳に直接働きかけて「吸わずにはいられない」快感をもたらす身体的依存型と、食事や趣味のように快楽を得る手段として習慣化してしまう心理的依存型の喫煙タイプがあります。

ヘビースモーカーなどは病院に行くと、繰り返し治療が必要な慢性の病気「ニコチン依存症」と病名が記されるようです。

喫煙はがんの発症率にも影響が高く、特に肺がんの原因になりやすいと言われます。本人および周囲の人たちのためにも喫煙が原因となるがんの予防、早期発見、早期治療を意識すると共に、喫煙者は禁煙外来などもうまく活用して、卒煙を心がけてみてはいかがでしょうか。